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新たなスパイ防止法は人権を尊重すべき

過去の法案は表現の自由、報道の自由を脅かした

衆議院予算委員会で答弁する高市早苗首相、2025年11月7日。 © 2025 Kyodo via AP Photo

日本の高市早苗首相は2025年11月26日の参議院党首討論で、「インテリジェンス・スパイ防止関連の法制」を「今年検討開始して速やかに法案を策定することを考えている」と答弁した。こうした動きに併せて、自由民主党(自民党)の過去の法案を考慮に入れると、新たなスパイ防止法案には表現の自由、報道の自由、そして内部告発者の保護を脅かす深刻な懸念がある。

自民党は1985年に「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」を国会に提出した。しかし、日本弁護士連合会などが、法案における「国家秘密」などの内容が「実質的に、広範囲・無限定」であり、「合理的な根拠」を欠く死刑が罰則として含まれていたことなどから強く反対した結果、廃案になった。

その後、自民党政権は2013年に特定秘密保護法を可決した。同法は、防衛、外交、「特定有害活動」とテロリズムに分類される、「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある」情報を「特定秘密」に指定する権限を日本政府に与え、これらの秘密を漏らした者への罰則を強化した。

新たなスパイ防止法の推進派は、特定秘密保護法ではスパイ行為の未然防止や処罰には不十分だと主張している。高市首相の先月の答弁は、自民党が保守派野党とスパイ防止法の制定に向けて協力している最中に行われた。10月に自民党と維新の会が締結した連立政権合意書には、「インテリジェンス・スパイ防止関連法制」の「速やかな法案の策定」と「成立」が盛り込まれており、参政党国民民主党も11月下旬に同様の法案を国会に提出した。

仮に日本政府が新たなスパイ防止法を制定すると判断した場合、特に市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)などの国際法を遵守すべきだ。国連人権理事会は表現の自由の規制に関して、正当な目的のために必要であり、広範囲すぎてはならないとしている。各国政府は「細心の注意を払い」、国家の安全保障に関する法律をICCPRの厳格な必要条件を満たす形で策定・適用する必要がある。「こうした法律を使い、国家の安全保障を害さない正当な公共の利益である公的情報を抑圧したり、伏せたり、こうした情報を拡散したジャーナリスト…人権活動家などを訴追する」ことはICCPRに反する行為だ。

いかなる法案においても、内部告発者、ジャーナリスト、学者、活動家、独立監視団体など公共の利益のために情報取集する者を明確に守る必要がある。

皆様のあたたかなご支援で、世界各地の人権を守る活動を続けることができます。

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